応用統計学

アブストラクト


Box-Cox 変換とオプション評価, 75-97

宮崎 浩一

要旨(英文要旨

時系列分析の定石であるBox-Cox 変換は,金融工学の分野ではあまり知 られていない.金融工学において盛んに利用されているオプション評価モデルの Black-Scholes モデルでは,株価が幾何ブラウン運動に従うことが仮定されており, この仮定は,言い換えると,対数変換後リターンが一般化ウイナープロセスに従う 仮定に同じである.実は,対数変換は,Box-Cox 変換の特殊なケースとして含まれ る.そこで,本研究では,Black-Scholes モデルにおける仮定の一つである対数変換 部分をBox-Cox 変換に拡張したオプション評価法を与えることを目的とする. 実証分析においては,まず,最適なパラメータを用いたBox-Cox 変換に基づく株 価プロセスモデルが対数変換に基づくものからどの程度乖離したモデルであるかに 関して,株式相場の局面毎にAIC に基づき検証する.分析結果は,概して株価上昇 局面においては,最適なパラメータを用いたBox-Cox 変換は対数変換に近いものと なるが,株価下落局面においてはそうとはならないことがわかった.また,AIC に 基づく株価プロセスモデルの検証結果がオプション価格に反映されることも確認で き,株価プロセスモデルにおけるAIC は,オプション価格に関するモデル間の乖離 をある程度正確な水準で捉えることがわかった. 実務的なインプリケーションとしては,本株価プロセスモデルを利用することで, 株式オプション市場で観測されるボラティリティーのスキュー現象を捉えることが 可能であることがわかった.


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