応用統計学

アブストラクト


未観測交絡因子が存在する場合の総合効果の識別可能条件, 71-85

黒木学

要旨(英文要旨

本論文では,変数間の因果関係が非巡回的有向グラフと対応する線形構造 方程式モデルで記述できると仮定する.このとき,処理変数と反応変数の間に未観測 交絡因子が存在する場合において,処理変数に対して外的操作を行ったときの反応変 数への総合効果を推測する問題を考える.この状況に対処するための総合効果の識 別可能条件として,フロントドア基準(Pearl, 2000) や条件付き操作変数法(Brito and Pearl, 2002) が知られている.これらの識別可能条件は,総合効果を推定する ために,未観測交絡因子とは直接的には関連しない第3 の観測変数を利用するとい うアイデアに基づいている.しかし,現実の問題においては,未観測交絡因子は処 理変数や反応変数だけでなく,さまざまな変数に影響を与えていることが多い.こ のような状況に対応するために,本論文では,因子モデルの識別可能条件を改良し た新たな総合効果の識別可能条件を与える.本論文の結果は,総合効果の識別可能 条件として有用であるだけでなく,因子モデルの識別可能条件の新たな見方も与え ている.


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