チュートリアルセッション「adaptive and flexible designs in clinical trials」の報告

 

オーガナイザー 上坂浩之

 

本チュートリアルセッションが扱った内容は、現在、医薬品の臨床試験に関する研究の中で最も盛んに議論されている話題である。医薬品の開発にかかる時間、資源および費用は増加の一途をたどっており、開発を促進させるためにも、より合理的な試験方法の開発が望まれている。この状況を反映して欧米では、adaptive and flexible designについて、産官学での研究会が盛んに催されている。日本では、残念ながらこの領域の研究は格段に遅れている。セミナーでは、アメリカのVanderbilt大学でこのテーマで研究されている小山達樹博士にadaptive and flexible designの理論についての講義をしていただいた。Adaptive and flexible designでは、試験の中間結果を利用して、その後に組み入れられる被験者のデータの解析における仮説の変更、一部の試験治療群の除外、解析する変数の変更、被験者数の変更などを計画する。ここで問題になることは、試験の中間結果に基づくこれらの変更によっても、第1種の過誤確率の増大をきたすことなく、できるだけ少ない被験者数で検出力あるいは精度を確保する方式を見出すことと、それに伴う推測理論の確立である。また試験の実施ならびに評価に関しては、中間解析以後のデザインの変更によりもたらされる可能性のあるバイアスを抑制することである。このチュートリアルセッションでは、2薬剤の比較試験について、統計的推測とデザインの設計に関する理論を解説していただいた。講義では、基本的な考え方から最新の理論と、試験デザインの決定の方法を、例題を用いてわかりやすく解説していただいた。

実施上の問題については、翌々日に行われた企画セッション「臨床試験におけるadaptive designの活用」にて議論された。このチュートリアルセミナーは企画セッションの参加者にとっても、designの理論的側面の理解に役立ったこととであろう。このセミナーならびに企画セッションを契機として、多くの方々にadaptive and flexible designに関心を持っていただき、この分野の研究の発展とデザインの活用が促進されることを願っています。